特集・インタビュー

横浜ソーシャルビジネス事業者レポート vol.6《ネパリ・バザーロ 土屋春代さん》


ネパールの食品・雑貨・服のフェアトレード輸入販売をメインにしながら多くの社会貢献活動も行っている「有限会社ネパリ・バザーロ」(ソーシャルビジネス現場訪問レポート 2013 vol.7 参照)。ひとつの地域とじっくり付き合い、そこにあるもので商品をつくることを必死に考える…その姿勢と経験をもとに、東日本大震災の復興支援が、化粧品という新たなビジネスを生んだ。ネパール1国から始まったフェアトレードに東北が加わり、現在は2つのサポートが事業の柱になっている。代表の土屋春代さんに聞いた。

「椿油」から化粧品「クーネ」誕生へ

陸前高田での事業は、震災前に障がい者継続就労支援B型施設の設立相談を受けたのが、きっかけだった。椿油の製造販売を側面支援するはずが、諸事情で「ネパリ・バザーロ」が経営主体でスタートすることになる。初期投資に加えて、手間のかかる椿油製造はコストがかさみ、会社の経営を圧迫し始めた。そこで、椿油と東北の自然素材を使用した化粧品の製造販売を思いつき、模索を始める。一からの挑戦は2013年春に開発着手、そして11月には販売開始に至るという驚異的なスピードで、フェアトレードコスメ「クーネ」は誕生したのである。

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ソーシャルがソーシャルを引き寄せる

「東北の素材を使いたい」、「作る、売る、使う、みんなが嬉しくなるものにしたい」「自社工場を持つ企業」とコンセプトや条件を明確にし、全国のメーカーをリストアップ、事業パートナーを探して個別にアプローチした。多くの事業者とのやりとりの中で、化粧品業界の仕組みや考え方等を学んでいく。素材も自ら探し、震災復興支援に取り組む事業者ネットワークの中で生産者と出会った。昔は、事業協力者は非営利でないと得難かったが、今はビジネスとして通用するレベルの商品であれば協力が得られると、実感しているという。

商品開発や販促は、ネパールで培ったノウハウが活きた。素材の1つ乾燥ワカメを生産する田老町漁協を訪問。生産現場の苦労を知り、現在は消費者に呼びかけて「ワカメ収穫支援ツアー」を実施、ユーザーにも現場を見てもらうと同時に、生産者支援を実現している。

その後、出会った生協職員が田老町漁協の応援をしており、田老のワカメを原材料とする「クーネ」も応援してくれたり、被災地の旅館はアメニティで「クーネ」の使用を申し出てくれるなど、生産者とのつながりや復興支援のコンセプトが結果として着実に販路をひらいている。

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フェアトレードは社会をかえていくもの

創業24年を迎えた現在を「第2創業期」と位置づけている。「ネパリ・バザーロ」のフェアトレードは「手間のかかったものに適正価格を支払う」姿勢を一貫してきた。同社において「クーネ」はソーシャルネットワークで商品を販売することで、社会を変える具体例でもある。これまで扱ってきたものは生産量が限られたものが多いが、化粧品は大量生産できるので、量を売って経営の柱になる商品に育てたいと考えているのだ。

モノが出来るまでの物語を知り、正当な価格を知ってほしい、東北の生産地ツアーはそんな意味合いも込めて行っている。商品が売れればいいというのではなく、これからも社会がかわっていくひとつの切り口でありたい、そんな「ネパリ・バザーロ」の挑戦は続く。

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組織概要

有限会社ネパリ・バザーロ
http://nbazaro.org/vacant_wp/
http://www.verda.bz/

1992年よりネパールのハンディクラフト製品、服飾、食品の企画・開発、輸入、販売等手掛けるフェアトレード企業。神奈川県内の福祉作業所や東北の震災復興にも広く関わっている。

所在地:〒247-0007 横浜市栄区小菅ヶ谷4-10-15
取材:2016年1月